【野宮真貴/小西康陽】女性上位時代/Pizzicato Five 【高浪慶太郎/音楽レビュー】
メインボーカルが野宮真貴になってはじめてのアルバム。クールで自由奔放で魅力的な”野宮真貴”というキャラクターをイメージづけるためのアルバムである。「女性上位時代」というタイトル、曲の間に挿入されるインタビュー、果てはしりとりまで!あの手この手で攻めてくる。このアルバムを聴くと、ファッション雑誌をみたような、おしゃれインスタグラマーの投稿を見たような、気分になって美意識があがるので、きれいになるモチベーションを上げたい女性におすすめ!
1. 女性上位時代#4(ナレーション)
2. 私のすべて
3. お早う
4. サンキュー
5. 大人になりましょう
6. 女性上位時代#5(ナレーション)
7. ベイビィ・ラヴ・チャイルド
8. トゥイギー・トゥイギー
9. トゥイギー対ジェームス・ボンド
10. 神様がくれたもの
11. パーティー
12. しりとりする恋人たち
13. マーブル・インデックス
14. きみになりたい
15. むずかしい人
16. TOKYO`S COOLEST SOUND
17. クールの誕生
18. 女性上位時代#6(ナレーション)
1. 女性上位時代#4(ナレーション)
野宮真貴のちょっと意地悪で小悪魔的な魅力が垣間見えるインタビュー。
2. 私のすべて
わたしはすべて許されちゃう、だってわたしはかわいいから!小悪魔だ!けして可愛らしいタイプではない、むしろ美人なタイプの野宮真貴だけど、なぜかすごく納得してしまう説得力を、初めのインタビューとこの曲の3分弱に持たせてしまうのがすごい。
3. お早う
先ほどと打って変わって抑揚のないクールな歌声の野宮真貴。お早うというさわやかなタイトルなのに、曲は全然さわやかじゃなくて、めっちゃ怖い!こういう訳の分からなさ、つかみどころのなさに、わたし達聴き手はどんどんこのアルバムに引き込まれていく。
4. サンキュー
抑揚のないまるでモノクロの映像のような前曲が終わると、これまた全く異なったキラキラサウンドが始まって驚かされる。でも歌詞は”ユウウツな気分は晴れない”と歌っている。ユウウツな気分だけど、励まそうとしてくれる人にも一応のありがとうを言うくらいには周りを受け止めらる、でも元気溌剌!といかない気怠い気ままな女性って感じ。
5. 大人になりましょう
静かなボーカルで皮肉たっっぷり、そしてキュート。語ることはあまりないがピチカート・ファイヴの中でも特に好きな曲の一つ。この曲までは小西康陽作詞作曲。
6. 女性上位時代#5(ナレーション)
引き続きお楽しみくださいというアナウンス笑。
7. ベイビィ・ラヴ・チャイルド
高浪慶太郎作曲、小西康陽作詞。前作までのアルバムのようなロマンチックなふわふわした雰囲気。間奏で2作目のアルバム、ベリッシマに収録されているカップルズの一部が引用され、不穏さを漂わせます。
8. トゥイギー・トゥイギー
佐藤奈々子作詞作曲。とってもキュートでおしゃれな曲。PVもおしゃれ!この曲はもともと野宮真貴がソロの時代から歌ってた曲のようですね?海外から人気に火のついたピチカート・ファイヴ、2016年夏季オリンピックのサッカーの会場でこの曲が流れていたそうです。
9. トゥイギー対ジェームス・ボンド
インスト。
10. 神様がくれたもの
高浪慶太郎作曲、野宮真貴作詞。こんな素敵な女性に生まれちゃって、素敵な彼もして、優雅な毎日で世界中の幸せ独り占めだわ、ありがとう神様っていう傲慢な一曲。この曲を口ずさむと自分もスーパーかわいい女の子に生まれたような気分になる。幸せ。あいかわらず淡々としたボーカルで、それがいいです。自動的に幸せなの、わたし。
11. パーティー
細野晴臣作曲、歌詞は色んな人でめんどくさいんで書きません。華やかでキッチュなワードがいっぱいでファッション雑誌の1ページみたいな曲。
12. しりとりする恋人たち
しりとり。本当にしりとりなの。
13. マーブル・インデックス
高浪慶太郎作詞作曲。全く掃除関係ない曲だけど、この曲はなんか掃除がはかどるんですよね。この曲ももちろん、アルバム全体でボーカルは抑揚なく歌っていて、それが野宮真貴のキャラクター像を描写する歌詞に乗っかって、野宮真貴のキャラクターに浮世離れしたイメージを付与しているように思います。このように歌詞だけでなく、歌い方やしりとりで選ぶ言葉、言葉の発し方など様々な方法で異なった印象を付与することにより、しっかりと鮮烈に聴き手に”野宮真貴”のキャラクターを残す一枚になっています。
14. きみになりたい
小西康陽作詞作曲。淡々としたラブソングでサウンドもシンプル。シンプルイズベスト。聴くべし。
15. むずかしい人
高浪慶太郎作曲、野宮真貴作詞。高浪慶太郎さんのこういう深刻さのない曲が好きだ。自由奔放でまじめな男性もお構いなしに振り回そうと構ってちゃんになる女性像が可愛らしい曲。
16. TOKYO`S COOLEST SOUND
高浪慶太郎作曲、小西康陽作詞。さわやか!日曜日の東京の公園のイメージ。
17. クールの誕生
小西康陽作詞作曲。ダメ押しの一曲。もうここまで聴いたら、あなたもピチカートマニア一直線!”冷たいのが好きでしょ”と歌う野宮真貴のサディスティックな眼差しが脳裏に浮かぶよう。サウンドもコンピューターを意識したようなピコピコ音が使われていて、機械的な冷たさを連想させます。
18. 女性上位時代#6(ナレーション)
高浪さんや小西さんとはまだ友達歴が浅いとごまかす野宮真貴。
【田島貴男/小西康陽】Bellissima!/Pizzicato Five 【高浪慶太郎/音楽レビュー】
ピチカート・ファイヴの2枚目のアルバム。浮世離れした浮足立つロマンチシズムと陰という印象です。リリースされたのが1988年。バブルの虚構の豊かさ、その危うさが表れているかのように暗い、というか、虚しさ寂しさみたいなものが滲み出ているアルバムです。
1. 惑星 作詞:小西康陽 作曲:田島貴男
2. 誘惑について 作詞:小西康陽 作曲:田島貴男
3. 聖三角形 作詞:小西康陽 作曲:田島貴男
4. ワールド・スタンダード 作詞:小西康陽 作曲:高浪慶太郎
5. カップルズ 作詞:小西康陽 作曲:高浪慶太郎
6. 日曜日の印象 作詞作曲:小西康陽
7. 水泳 作詞:小西康陽 作曲:高浪慶太郎
8. セヴンティーン 作詞作曲:田島貴男
9. これは恋ではない 作詞作曲:小西康陽
10. 神の御業 作詞作曲:小西康陽
1. 惑星 作詞:小西康陽 作曲:田島貴男
おしゃれな夜の曲。田島貴男の曲はすこぶるロマンチックで夜のドライブに最適。
2. 誘惑について 作詞:小西康陽 作曲:田島貴男
聴いてるこっちが恥ずかしくなるくらいの耽美的な曲。過剰なロマンチシズム!最高!
3. 聖三角形 作詞:小西康陽 作曲:田島貴男
夢見心地なロマンティックな曲。ここまでの曲には暗さはなく、ただただロマンチック。
4. ワールド・スタンダード 作詞:小西康陽 作曲:高浪慶太郎
ここら辺から曲がちょっと物憂げになってくる。この曲は疲れた大人のための曲だって思います!疲れた時に聞くとテンポも歌詞も前向き過ぎず少しローな感じがちょうどいい。”悲しいのに悲しみを忘れている人々に 悲しすぎて泣くことも忘れている人々に”という歌詞にワールド・スタンダードというタイトルがついて、まるで世界中の人々が悲しみを忘れてしまっていると言われているよう。
5. カップルズ 作詞:小西康陽 作曲:高浪慶太郎
終わった恋を懐かしむ曲ですが、絶対美化してるだろう!って言いたくなる曲です。男の人ってそういう節があると思うの。カップルズは1作目のピチカート・ファイヴのアルバムタイトルです。3作目の女王陛下のピチカート・ファイヴでも、一つ前のこのアルバム由来の「新ベリッシマ」という曲があります。わたしはカップルズを持ってないので、この曲とどれくらいリンクしているのかはわからないです。
6. 日曜日の印象 作詞作曲:小西康陽
自意識過剰な男がバスルームで自殺を図る曲!どんだけ辛気臭いんだ!聴いてるこっちも、もの悲しい気分になります。
7. 水泳 作詞:小西康陽 作曲:高浪慶太郎
前の曲での落ち込んだ気分を救い上げてくれる曲。チャチャチャ?のリズムに水泳っていうタイトルの組み合わせがレトロ。いい大人が恋の熱に浮かされて夜のプールで逢引きしてる感じ。陽気なリズムだけど、雰囲気は恋に夢中な時のどうしようもなさが押し出されていて、切ないです。
8. セヴンティーン 作詞作曲:田島貴男
昔好きだった人を偶然見かけてしまった曲なんですかね。歌詞カード見て、今初めて気が付きました。この曲も田島貴男らしいロマンチックな雰囲気の曲です。
9. これは恋ではない 作詞作曲:小西康陽
大人な関係の曲。すごく好きな曲!大人の狡さと悲しさが詰まってます。序盤は淡々として、徐々に感情的になっていく。これでおしまいなんて言ってる割には、完全に頭の中お花畑。このオリジナルが脳内お花畑だから、小馬鹿にしたような月面軟着陸バージョンにすごくびっくりしたんですが、それぞれ素晴らしいです。
10. 神の御業 作詞作曲:小西康陽
僕たちが愛を失くして離れ離れになっても、それは神様のせいだよ、だなんて最後までずるいことを言っている。このアルバムは全体を通して、なんかナンパ師の生態を描いているようだと感じる。完全に偏見ですけど!
【田島貴男/小西康陽】女王陛下のピチカート・ファイヴ/Pizzicato Five 【高浪慶太郎/音楽レビュー】
わたしの大好きなアルバムを紹介します。ピチカート・ファイヴといったら野宮真貴の印象が強いんだろうけど、わたしは田島貴男ボーカルの頃のピチカート・ファイヴが大好き!
大げさすぎるくらい甘くて色っぽいボーカルに小西康陽、高浪慶太郎、田島貴男の三者三様の曲、そのバックにはバブルという、またまた大げさな時代の波があった。その時代にその3人だったからこそ生まれた音楽です。このアルバムの前作、ベリッシマも好きですが、よりロマンチックでカッコつけた、この「女王陛下のピチカート・ファイヴ」の方がおすすめ度が高い!女王陛下のエロチカ大作戦っていう架空の映画をモチーフに作られてて面白いです。
実はヤプーズのベーシスト中原信雄もこのアルバムに参加してます!野宮真貴がピチカート・ファイヴに参加する前のポータブル・ロックというバンドでも中原信雄はベースをしてたみたいです!意外な繋がりにびっくり。
1.オードリィ・ヘプバーンの休日 作曲:高浪慶太郎
インストの曲。ロマンチックで怪しげで胸が高鳴るような、何が起こるんだろうという気にさせられます。
2.~イントロダクション"ジェイムズ・ボンドとヴェトナム"
銃声とセリフのみ。ベトナムが舞台なのかな?
3.新ベリッシマ 作詞作曲:小西康陽
前作のアルバム、ベリッシマの曲たちの歌詞が少しずついじられてて、ロックな曲調。前作ベリッシマを否定している?おちょくっている?ような感じですかね。
前作のベリッシマでは、本人たちの「なんでこんな暗いアルバムになってしまったのか」みたいなコメントがあったので。それを払しょくしたかったのかもしれません。
4.恋のテレビジョン・エイジ 作詞作曲:小西康陽
時代感のあるサウンドに、タイトル〜。堪らないです。恋人同士の曲なんですが、田島貴男と高浪慶太郎が歌ってるんです。どっちもソフトで甘い歌声できゅんとします。東京タワーもTVも、今となってはレトロなワードになりました。
5.リップ・サーヴィス 作詞:田島貴男・小西康陽 作曲:小西康陽
軽薄で甘甘な雰囲気がバブルっぽい!山田詠美の小説のような過度なロマンチシズムというか。本気じゃないからそこまでキザになれるだろうけど、そんだけかっこよかったら嘘でも何でもいいです。
6.「女王陛下のエロチカ大作戦」からの抜粋
~a. ナイロビの女王陛下 作曲:小西康陽
女王陛下ってヨーロッパとかのイメージしかなかったんですが、ナイロビの女王なんです。ナイロビって暑いとこでしょ、くらいのイメージしかなかったから調べたらケニアの首都ですって!
7.~b. スパイ対スパイ 作詞:田島貴男・小西康陽 作曲:小西康陽
とってもおしゃれでかっこいい曲。とってもかっこつけてる。田島貴男のとぼけたような「ぱんぱぱぽんぱーんぽーん」すらかっこいい。曲名のまんま、スパイっぽい曲。この曲、パスピエがカバーしていたと思います。何かのシングルの時のカップリング曲。なんでこの曲!?と思いました。田島貴男以外が歌って成り立つものなのか、聴いてみたいです。
8.~c. スウェーデン娘 作詞:田島貴男・小西康陽 作曲:小西康陽
さっきの曲のスウェーデン娘に捧げる曲でしょうか。別れを惜しむ感じ。
9.~d. 自白剤 作詞作曲:高浪慶太郎
ナイロビ要素また出てくる。ボーカルは越 美晴さん
10.~e. 陽動作戦 作曲:高浪慶太郎
セクシーボイスは前作までボーカルを務めていた佐々木麻美子さんだそうです。陽動作戦で物語は佳境に。
11.トップ・シークレット(最高機密) 作詞:田島貴男・小西康陽 作曲:小西康陽
セクシーな、甘甘ロマンチックナンバー。最高です。言うことなしです。
12.バナナの皮 作詞:小西康陽 作曲:高浪慶太郎
ちょっとコミカルな曲。この曲はボーカルは高浪慶太郎さんです。"バナナの皮"なんていうコミカルな、このアルバムの流れでは突拍子もないようなワードが入ってて、一見だまされ?ますが、十分この曲もかっこつけてます。
13.トップ40 作詞作曲:田島貴男
セクシー甘甘、コミカルなかっこつけ、と来て今度は正統派かっこつけナンバー。昔のミュージカルのひと場面でありそう。
14.ホームシック・ブルース 作詞作曲:高浪慶太郎
穏やかにやけくそな曲。この曲のギターがちょっとウエスタンな雰囲気で好きです。
15.衛星中継 作詞作曲:小西康陽
野宮真貴が初めて参加した曲。淡々としてるけど可愛らしくて、今にない価値観が垣間見える。昔は衛星中継ってとても画期的なものだったんだろうな。今でもインターネットとかで遠くの人と繋がれることに感動したりするけど、きっと今の比じゃないくらい感動的だったはずです。恋のテレビジョン・エイジと同様、あの時代だからこそ生まれた名曲。
16.遠い天国 作曲:高浪慶太郎
ちょっと一休み。インスト。怪しげ。
17.女王陛下よ永遠なれ 作詞作曲:小西康陽
女王陛下への愛の囁き。どこまでもロマンチックなアルバム。
18.夜をぶっとばせ 作詞:小西康陽 作曲:田島貴男
田島貴男がオリジナルラブでも歌ってる曲。こっちから知ったからってのもあると思うけど、わたしはこっちのアレンジが好きです。訳もなくブルーで、ドライブするっていう、どうしょうもなさが大人な曲。
19.ゴーゴー女王陛下 作曲:小西康陽
再販版には収録されてません!総集編みたいな曲かと思いきやそうでもない。最後怖い。
オリジナル版なんてどうせないだろうと思って、再販版買ったあとに探したら普通にありました。下のリンクはオリジナル版なので、買うなら絶対にこっちがいいです。再販版はCD自体のプリントも適当なデザインになっちゃってて台無しです。
万華鏡/奥村愛子【音楽レビュー】
奥村愛子のファーストフルアルバム。語るまでもなく名盤だけど、語る。
奥村愛子との出会いは、ジャケ買いならぬジャケ借りでした。一目ぼれ、そして一聞きぼれ。わたし、めっちゃいいアーティスト見つけた!と思ったら、親友のお姉ちゃんも聴いてて、びっくりした思い出。
このアルバムには奥村愛子の礎がぎっちり詰まってます。ビッグバンドを従えて、昭和歌謡調の曲を歌う歌姫。これでもかとアイデンティティーを見せつけていく、そんなアルバムです。気になった人にはここから聴いてほしい。
収録曲
1. いっさいがっさい (密命ヴァージョン)
2. 万華鏡
3. 冬の光
4. 宝石
5. フリージア
6. 蝶
7. いろのない日記帳
8. 捨てられ上手 (穏やかMix)
9. わたしはずるい (爽やかMix)
10. 東京から
11. 紙の舟
12. 明日からふたりは
1. いっさいがっさい (密命ヴァージョン)
奥村愛子の名刺代わりの一曲。サビはスカで歌詞は道ならぬ恋の曲。スカだしビッグバンドっぽいし代表曲だしで、EGO-WRAPPIN'でいうところのくちばしにチェリー。
2. 万華鏡
次はちょっとロックよりな曲。歌詞も大人っぽくてクールな曲。
3. 冬の光
演歌の風を感じる一曲。儚さを歌っていますが、演歌特有のエナジーあふれる情熱的な曲。奥村愛子の持ち味の昭和歌謡っぽさは一色ではありません。色んなテイストの”昭和歌謡調”を歌いこなすのが強みだと思うんですが3曲目でしっかりそういった一面をも見せていて飽きさせないんです。このアルバムは一曲ずつが素晴らしいのはもちろんのこと、曲の配置もバランスがいい。
4. 宝石
サウンドは1.いっさいがっさいで、歌詞は2.万華鏡のような大人な曲。ゆったりとしたミドルナンバー。
5. フリージア
もう一発ロックな歌謡曲。セカンドアルバムのもう一度マリンブルーもそうですが、卒業というワードが入ると途端にノスタルジックになりますね。
6. 蝶
イントロの雰囲気がキューティーハニーっぽい。変身できそう。ちょっと無理して大人のふりしてプレイボーイにもてあそばれないよう振る舞ってるつもりだけど、まんまと振り回されてるって感じの曲。
7. いろのない日記帳
結局プレイボーイにもてあそばれて相手にしてもらえてない笑。
8. 捨てられ上手 (穏やかMix)
そしてふっきれる笑。
9. わたしはずるい (爽やかMix)
結局別れる笑。しかも他の女の子はわたしよりきっと賢くやってるだろうと自己嫌悪。中島みゆきのあの娘みたいに名前を連ねて恨めしそうなのがたまらない。わたしは7~9曲目の流れが本当に好きでたまらないんです。潔く男性に遊ばれる歌詞が逆に爽快。
10. 東京から
打って変わってスローなナンバー。
11. 紙の舟
より静かで厳かな雰囲気すら漂う曲へ。ピアノと歌だけなのに他の曲に全く負けないどころか存在感抜群の曲。
12. 明日からふたりは
蝶のシングルに”今日からふたりで”という曲があって、離れてた二人が一緒に暮らし始める曲で、友達のために作ったって書いてあったとおもうんですが、この曲はふたりがお互いを尊重して別れる曲なんです。お友達とこの曲は関係ないといいんですが…。曲自体は同じでアレンジと歌詞が違うだけですが、わたしはこっちのほうが好きですね。
虹色ナミダ/奥村愛子【音楽レビュー】
奥村愛子のセカンドフルアルバム。ジャケットがNICOのイラストでないアルバム。この時点であれ?となるんですよね、ファンは。
このアルバムで離れていったファンは少なくないでしょう。異変はジャケットだけではありませんでした。曲を聴いても、なんか違うんです。
それもそのはず、このアルバムではつんくにプロデュースしてもらった楽曲だったり、筒美京平作曲の曲もあったりと、作詞作曲に色んな人が関わってます。大人の事情があるのかもしれませんが、奥村愛子にとって、この”外からの成分”は完全に蛇足でした。
でも、奥村愛子は自分の曲しか歌えないわけではないんです。カバーとか、すごくいいんです。じゃあなんでこのアルバムは微妙な感じになってしまったのかっていうと、中途半端に外野が奥村愛子に寄せていった結果ではないでしょうか。だったらいっそ全然違う成分をぶつけて化学反応を狙ったほうがましだったのではと思ってしまいます。
結局このアルバムを最後に奥村愛子は表舞台から姿を消し、その後ひっそりと復活しました。奥村愛子としての活動だけでなく、アイドリング!や戦国鍋TV、バカリズム、プリキュアなどへ楽曲提供など、今でも精力的に活躍しています。
でもでももっと売れてもいいだろう!!心からそう思うアーティストです。
このアルバムを聴くのは一通り聴いたあとが一番いいと思う。奥村愛子の作品をいろいろ聴いた今なら、こういうのもあっていいよねって、このアルバムもすごく好きになれました。世に出るのが早すぎた。そんな不遇なアルバム。
収録曲
1.恋の嵐(作詞:奥村愛子 作曲:奥村愛子・熊谷憲康)
2.虹色ナミダ(作詞:奥村愛子&松井五郎 作曲:奥村愛子&阿部靖広)
3.くちびるセクシー(作詞:つんく 作曲:つんく)
4.もう一度マリンブルー(作詞:奥村愛子 作曲:上野圭市)
5.Nice Nice(作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平)
6.恋はここから(作詞:奥村愛子・置田恭子 作曲:熊谷憲康)
7.恋したいハート(作詞:奥村愛子 作曲:筒美京平)
8.Lovephobia(作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平)
9.銀色の雨(作詞:奥村愛子・川上夏季 作曲:望月衛介)
10.あなたのピラフ(作詞:つんく 作曲:つんく)
11.ベランダの向こう側(作詞:奥村愛子 作曲:奥村愛子)
12.恋したいハート(Brassless Version)
1.恋の嵐(作詞:奥村愛子 作曲:奥村愛子・熊谷憲康)
サウンドとかは今までの曲みたいなビッグバンドなんで、この曲以降いつもの奥村愛子を期待してしまう。罪深い曲。歌詞も奥村愛子なんだけど、いつもの毒気がなくて俗っぽい。ちょっと物足りない。
2.虹色ナミダ(作詞:奥村愛子&松井五郎 作曲:奥村愛子&阿部靖広)
この曲はファーストアルバムの奥村愛子の意思を受け継いている曲です。期待通り。だからこそ次の曲であれ?あれれ?ってなるんですよ!!
3.くちびるセクシー(作詞:つんく 作曲:つんく)
めっちゃつんく。つんくさんです。確かにつんくも歌謡曲調の曲書くので、親和性が高く思えたのかもしれません。でも、つんくと奥村愛子の”歌謡曲調”は、完全に似て非なるものです。これでは奥村愛子はただの歌がちょっと上手いねえちゃんです。
4.もう一度マリンブルー(作詞:奥村愛子 作曲:上野圭市)
すごく昔っぽい曲。本当に昭和の曲みたいな。歌手が歌うとき、イントロ中に横で司会者が曲紹介する番組とかがあったころぐらいのイメージとか。これくらい古臭いほうが奥村愛子の良さが活かされると思います。これくらい古臭いと逆に新鮮。
5.Nice Nice(作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平)
いまだにこの曲をどう受け止めたらいいのかわからない。めちゃくちゃ悪いわけではないけど、なくても困らない。
6.恋はここから(作詞:奥村愛子・置田恭子 作曲:熊谷憲康)
キラキラしてて、お色気たっぷりなんですが、なんか偽物っぽいといか、奥村愛子成分が少ない。俗っぽい。
7.恋したいハート(作詞:奥村愛子 作曲:筒美京平)
ぶりっこ。この辺の曲はもう奥村愛子はやけくそというか、吹っ切れて歌詞を書いていたのかもしれない。
8.Lovephobia(作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平)
自己陶酔が激しすぎて聴くのがしんどい。恋愛したことがない女性作家が書く恋愛漫画のよう。
9.銀色の雨(作詞:奥村愛子・川上夏季 作曲:望月衛介)
また古めかしい曲。でも4.もう一度マリンブルーよりは新しめの古臭ささ。この程度の古臭ささだけが取り柄ならカバー曲でいいのでは。
10.あなたのピラフ(作詞:つんく 作曲:つんく)
この曲嫌いじゃないけど、次の曲を聴いてしまうと途端にかすんで見えなくなります。ぶりっこが過ぎるんだよなぁ。
11.ベランダの向こう側(作詞:奥村愛子 作曲:奥村愛子)
奥村愛子の切ない曲は、まるで自分も追体験したような、小説でも読んだあとのような、そんな気持ちにさせられる。それくらい聴くものを引き込む力がある。これからも自分のペースで構わないから、この曲のような世界観のある曲を一曲でも世に送り出してほしいと切に願う。この曲は奥村愛子の曲の中でも一番好きといってもいいくらい好きだ。
12.恋したいハート(Brassless Version)
これ、いる?
鍵/奥村愛子【音楽レビュー】
このアルバムは一番昭和っぽさのないアルバムだと思います。サウンドもファンキーで辛気臭さがありません。歌詞も奥村愛子特有の男女のドロドロさはなく、さっぱりめなので全体的に爽やか。アルバムの雰囲気としては、まさにジャケットの通りで、レトロなサイケデリックさがありつつも柔らかいという印象。
ファーストアルバムの頃と比べるとこの時期くらいからの歌唱力は段違いで、どんな曲でも思わず唸るような奥村愛子節を聴くことができます。歌い上げるっていう印象の曲が多いアルバム。
収録曲
1.たのしい迷路
2.ナイフの男
3.かわいたグロス
4.フライデーナイト・トーキョーナイト
5.ジャパン
6.鍵穴に気をつけろ
7.剣唄
8.さくらポケット
9.鍵
10.お望みショコラ
1.たのしい迷路
怪しくて楽しい迷路に迷い込んだ感じの曲。
2.ナイフの男
レトロな響きのギターにぐいぐい引っ張られていきます。アップテンポな曲で奥村愛子の多彩な歌声が楽しい。
3.かわいたグロス
曲もかわいけりゃ歌詞もかわいい。ポップな曲でMVもかわいいです。
4.フライデーナイト・トーキョーナイト
今度はクールな曲。ライブでもよく演奏される曲のようで、手を左右に振るフリがありますね!私は知りませんでした笑。この曲のちょろちょろ入るベースの遊びがとてもかっこいい!
5.ジャパン
勢いがすごい。この曲もアップテンポな曲。ここぞとばかりに響く歌声に圧倒される。
6.鍵穴に気をつけろ
フランス語のセリフからはじまるインスト。ハードボイルドな感じでかっこいい。
7.剣唄
ムーディなサックスが際立つ。まさに歌い上げるといった感じの曲。
8.さくらポケット
柔らかい歌声の優しいミドルナンバー。強い歌声の印象が強いこのアルバムですが、柔らかい歌声も奥村愛子の得意技。長い曲ですが長さを感じさせず、じっくり浸ることができて、聴いてるこちらまで優しい気持ちになるような曲。
9.鍵
さくらポケットに続いて柔らかい曲。こっちはスローな曲です。サウンドもギターと歌声だけとシンプル。シンプルだからこそ素材の良さが浮かび上がる。まどろみの中で幸せに浸るような曲。
10.お望みショコラ
簡単にいうとラブマッチのときみたいな雰囲気の曲、つまり誘う女的な曲です。スキャットからはじまってムーディな雰囲気でとても楽しいです。明るくアルバムの最後を締めくくっています。
ラブマッチ/奥村愛子【音楽レビュー】
今日はわたしの一押しのアルバムを紹介したい。
ラブマッチは奥村愛子の3枚目のアルバムである。奥村愛子といえば、いっさいがっさいや蝶などの昭和歌謡っぽい曲のイメージとジャケットを飾るNICOのイラスト。それをセカンドアルバムでつんくプロデュースだなんだと取り壊してしまって、あれあれと言っていたら見かけなくなってしまったのが奥村愛子である。わたしはこのアルバムの存在をニコニコ動画の違法アップロードされた動画を観るまで全く知らなかった。奥村愛子はセカンドアルバムのあと活動休止した為、メディアへの露出がなくなったようだ。違法アップロードはよくないことなのかもしれないが、この動画がなければ、わたしはこのアルバム以降の奥村愛子の作品を知ることはないままであったかもしれない。もちろんCDはすぐに購入した!
このアルバムをはじめて聴いたときは女王が帰ってきた、そう思った。一曲目のイントロからすでにそれは、わたし心待ちにしていた"奥村愛子の新曲"であった。(※セカンドアルバムは奥村愛子作曲の曲が少なかった)
このアルバムが如何にわたしにとって衝撃的だったがかという話は尽きないのでこれくらいにして、ちゃんとアルバムを紹介していこうと思う。
ランタンレッドは酒と女、ショッキングブルーは女の修羅場だったとしたら、ラブマッチは誘う女のアルバムですね。
ニコニコ動画内でもコメントしてる人がいたんですがらこのアルバムはサウンドが楽器の編成的にEGO-WRAPPIN'っぽいのでエゴラッピン好きな人にもすすめてみてほしいですね。わたしもそうですけど、既にどっちも好きって人も多いかもしれませんけどね。
収録曲
1.かくれ花火しかけ花火 (おめかしmix)
2.二時の秘密 (よふかしmix)
3.今夜あなたは抱いてしまう
4.街角マルガリータ
5.ゲームのあとで
6.スパークリング・タイム
7.あなたの髪を切ったこと
8.客席より
1.かくれ花火しかけ花火 (おめかしmix)
ムーディなサックスのイントロから、なんだか秘めたるものあります!という雰囲気を漂わせるこの曲。そのイントロから低く流れこみ朗らかに広がる奥村愛子の歌声が挑発する。特性のしかけ花火。この曲で一気に引き込まれる。
2.二時の秘密 (よふかしmix)
一曲目の秘密めいた雰囲気をそのままに22時のドラマみたいな世界観になります。わたしをあの子の代わりにしてもいいから!っていう。こんなんね、言ったことないけど、一つのモチーフですよね。このアルバムは結構極端な女性像が多いんですけど、そこがいい!本当にドラマの中の"女"っていう女。小さい頃に大人の女性ってこんな感じなのかなって思う物憂げなお色気お姉さん像ですよ。
3.今夜あなたは抱いてしまう
まず、曲名がすごくないですか!?曲名も官能的なら曲も歌詞も官能的なんですけど、わたしはこの曲大好き。もう本当にすき。大好き。
"みかん色の電球"って歌詞があるんです。完全に昭和です。絶対昭和の小さくて古いアパートが舞台で、主人公はちょっと地味で素直な女の子だよ。
"その瞬間 明かりに群がる ただの二匹の虫になる"はい、死亡。こんな官能的な歌詞現代で書ける人がいるんだって思いました。奥村愛子の感性に乾杯。
4.街角マルガリータ
キラキラサウンドが街明かりを描写する。カクテルの名前がたくさん出てきて、舞台はバー、女が男を待ってる。でも彼は来ない。大人〜!これもドラマであるやつやーん。
5.ゲームのあとで
ベースからはじまる隠密な曲。引き出しの奥に証拠を見つけたらあなたはどうしますか。
6.スパークリング・タイム
わくわくするようなアップテンポの曲で、歌詞も男性を翻弄したい無邪気で刹那的な女の子っていう楽しい曲。
7.あなたの髪を切ったこと
奥村愛子はなんでも歌える。バラードはとても切ない気持ちにいつもさせられます。
8.客席より
奥村愛子がMCにて、私の歌詞ってメッセージ性ゼロなんですが〜(会場どよめき)この曲は友人が頑張ってることを諦めようとしてたときに作った曲で、珍しくメッセージを込めて作りました、みたいなことを言ってたんです。奥村愛子の歌詞は男と女があーだこーだみたいな曲が多いので、確かに言われてみたらメッセージ性は低い?のかもしれませんが、メッセージ全くなしと言い切るサバサバ具合が面白かったです。
全8曲ですが、どの曲も完成度が高くて、とてもいいアルバム。奥村愛子のアルバムで最初に聴くのにおすすめなのはもちろんファーストアルバムだが、2番目はラブマッチがいいだろう。
アマゾンさんには新品は無いようですが、奥村愛子のオフィシャルウェブショップで買えます。
http://okumuraaiko.thebase.in