天声ジングル/相対性理論【音楽レビュー】
作詞作曲の大部分を担っていたベース真部脩一がドラムの西浦謙介とともに脱退してから2枚目のアルバム。
わたしが相対性理論に本格的にはまったのは、正しい相対性理論とかよくわからない方向性のときだったので、リアルタイムで活動を追うことはありませんでした。
過去作品ばかり聴いていたら、いつの間にかメンバーがかわっていて、新しいアルバムが出てたけど当時はやっぱり真部脩一ありきの相対性理論だと思っていたので、TOWN AGEは受け入れ難かったです。
しかしながら、2ヶ月前くらいにYouTubeでウルトラソーダとケルベロスをたまたま聴いて、あれ?なんかこれなら受け入れられるかも!と思って聴いてみました!
TOWN AGEでは、どうしても真部脩一の幻影を追いかけて何か歌詞から偽物感が漂ってました。辰巳探偵とか。しかし、天声ジングルではしっかり別物。新しい相対性理論になっているので、真部脩一の幻影がちらつくことないです。これはこれでいいなって思えるようになり、TOWN AGEも受け入れられるようになりました。
真部脩一がいたときまでの相対性理論というのは、背景はわたし達のいる世界で、そこに異質の誰かがいるという曲が多いように思います。日常に潜む非日常。平凡な主人公の前にふわふわ浮世離れした異質な女の子が現れて事件に巻き込まれる漫画のような。第三者的な客観性がありました。やくしまるえつこのボーカルは無感情でした。
一方新しい相対性理論は、普通のわたしが異世界に巻き込まれる。主観は自分。ボーカルは以前に比べて感情的で、簡単に言ったら俗っぽくなったと思います。
天声ジングルというアルバム全体については、相対性理論がもつSF要素にやくしまるえつこのソロ要素いれて暗くした感じです。
ループ、始まりと終わり。一曲一曲は弱いのでアルバム通して聴くのが一番良い。
今まであった曲でいうと小学館が近い。わたしは世界の終末モチーフがとっても好きなので、このアルバムが好きなだけかもしれない笑
サウンド的には永井氏のギターとやくしまるえつこのボーカルがあれば相対性理論は成り
立つということがよくわかるアルバム。
曲目〜
1.天地創造SOS
2.ケルベロス
3.ウルトラソーダ
4.わたしがわたし
5.13番目の彼女
6.弁天様はスピリチュア
7.夏至
8.ベルリン天使
9.とあるAround
10.おやすみ地球
11.FLASHBACK
1.天地創造SOS
天地創造というワードはやくしまるえつこだ。軽快な曲だけど、天地創造投げ捨てて電話も無視してのんびり朝寝坊する曲なので朝聴くとテンションがちょうどいいです。
2.ケルベロス
やくしまるえつこ氏にかかればケルベロスも地獄の番犬わんわんである。この潔いまでの媚びっぷりは、新しい相対性理論の特徴でもある。LOVEずっきゅんは歌わされてるって感じでしたが、この曲はもう自らわんわんと歌ってます。まぁ、かわいいのでいいんじゃないですかね。
3.ウルトラソーダ
遠い星からミサイルが来ているというのに、クリームソーダ飲みたいなぁという無気力感。終わっていくことに対する無力感という、終わっていくから無気力なのか、脱力感のあるところが"( 真部脩一在籍時の)相対性理論"っぽい。
4.わたしがわたし
イントロめっちゃ爽やかで夏の夕方みたいな感じなのに、歌いだしたらわかるような分からない歌詞の変な曲だった。
5.13番目の彼女
これはやりすぎでは?媚びっ媚びボーカルが受け付けませんでした。ごめんなさい。
6.弁天様はスピリチュア
極楽浄土っぽい。穏やかな癒し系。
7.夏至
なんとなしに聴ける曲。永井氏のギターですね〜
8.ベルリン天使
淡々とした曲で歌詞も意味がよくわかんないんだけど、この曲と次の曲がこのアルバムでは一番好きです。いつか天使になれるのを信じてる信心深いけど心細気な不思議ちゃん。
9.とあるAround
ノリノリな曲調ですが、ボーカルは醒めてる。醒めてるとはいえ、真部脩一時代よりは必死?に歌ってる感はあるんですが。ピコピコしてて楽しい。
10.おやすみ地球
アコースティックなサウンドで人類の終焉を歌う〜。新しい相対性理論は歌詞が露骨になったな、と思います。
11.FLASHBACK
この曲でまた一曲目へつながる。このくらい暗い曲は相対性理論では新鮮!暗いといか、静か?いや、やっぱり暗いと思う。この曲一曲だけ聴いたって全然なんともないんですが、アルバム通して聴くとやっぱり一番大事だし、アルバムコンセプトをひっぱる強い曲です。