【戸川純/ヤプーズ】HYS/YAPOOS【音楽レビュー】

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音楽レビュー大好き純ちゃんシリーズ、続いてはヤプーズのHYS。

1.ヒス
2.本能の少女
3.ラブ・バズーカ
4.シャルロット・セクサロイドの憂鬱
5.思春期病
6.少年A
7.いじめ
8.それいけ!ロリータ危機一髪
9.あたしもうぢき駄目になる
10.赤い花の満開の下

90年代の印象として、若い人の絶望というか、苛立ち、一触即発な雰囲気っていう印象があるんです。女子高生、ミニスカ、いじめ、援助交際、みたいな。
完全に偏見!
将来を悲観してて、どうしようもなさをみんな抱えてて、みんなイライラしてるような。でもそれって今も同じだと思うんだけど、表現の仕方とかが今よりもっとストレートな気がする。

このアルバムは、草食系男子という言葉が生まれるはるか昔から女性化した男性、男性かした女性の出現を予測していた戸川純の先見性が光るアルバム。暗くて欝々とした、まさに思春期。

個々の曲のインパクトは他のアルバムに比べて控えめだと思う。


1.ヒス
国民のみなさまのヒステリー。このアルバムのテーマ曲。戸川純って変な人に見えるけど、時代の流れや人のことや自分の中のことを本当によく見ていて、随分まともなことを鋭い切り口で表現するのでびっくりする。戸川純の書いた歌詞や文章はいつの時代でも変わらない普遍性をもってる。


2.本能の少女
第一、蝶は自殺をしないってすごいフレーズ。堂々としてきらびやかな曲調がとてもいい。



3.ラブ・バズーカ
好きって気持ちが強すぎて空回りしちゃう女の子。それが原因で自己嫌悪に陥っている!でも深刻さ全くなく、軽い、きわめて軽い。珍しい曲調だと思います。少女漫画的。



4.シャルロット・セクサロイドの憂鬱
セクサロイド・バーバラの世界観。ドラムンベースの音が宇宙船っぽさを出してていいです!
お仕事に嫌気がさしたシャルロットちゃん。古いタイプはすぐ壊されるからとロケットで宇宙に旅立ちます。ロボットという造られた存在でありながら、永遠とも言えるような孤独な時間に耐える覚悟で、生きることを選ぶその姿勢に心がけます動かされます。抑揚を抑えたボーカルと、対照的な生命に固執する歌詞。こういう表現力の豊かさを見るたびに、純ちゃんはやはりアーティストというよりは、女優に近いのかなと思う。



5.思春期病
ライオン・メリィさんの曲はちょっと気怠げでおしゃれ。身体は時間が経てば大人になっちゃうけど、気持ちはそうもいかない。



6.少年A
思春期の鬱々とした少年の曲。この曲を聴くと惡の華の中村さんを思い出す。酒鬼薔薇の事件よりも前の曲と知ってびっくり。
数、国、英~と教科をお経のように読み上げるところはかっこいい!



7.いじめ
自分に自信がないときは聴かない方がいい。落ち込んじゃう。けど、落ち込みたいときはおすすめ。



8.それいけ!ロリータ危機一髪
ベースがかっこいい!被害妄想の曲。



9.あたしもうぢき駄目になる
何かが割れる効果音が多用されていて、もう駄目になる感を出してます。そんなだけど、どんだけ頭おかしくなっても側にいるよって人がいてくれるという救いのある曲や!


10.赤い花の満開の下
中国テイストな旋律が素敵。どんなに好きだった人でも別れると案外平気、みたいな開き直りは戸川純の歌詞に多い。ほんとに辛いこともあるけどなんとかなるよ。